朝井リョウの「何者」就活生が読んだ
私は朝井リョウさんの作品が好きだ。
特に「何者」は高校時代に一度、大学2年で一度、そして就活真っただ中の大学3年でもう一度、計3回読んできた。
大学生の就活を舞台にした小説。
演劇サークルで脚本を書き、冷静に人を分析する主人公たくと
バンドサークルに大学生活の100%を捧げ、抜群の明るさを持つこうたろう
アメリカに留学し語学力を生かせる仕事を探すも、家庭の事情で志望を変えざるをえなくなったみずき
いわゆる「意識高い系」で模擬面接やOB訪問を何度もやるが、なかなかうまくいかないりか
そして、自分には就活は向かない、フリーで生きていくのが自分だと悟っているたかよし
それぞれの価値観が交差し、ぶつかりあう中で、人間の影の部分が本当にうまく描き出されている作品だ。
就活真っただ中の今、読んだ感想は「あーーーーこんなやついるわあ~~~」と「就活ってまじでなんなん??」だ。
前者については、物語に出てくるキャラクター全員が、ここ半年で会っただれかと重なるからだ。
一番何もやっていなさそうなこうたろうが内定をもらうシーンは、自分が落ちたインターンに参加した、ぶっちゃけ見下していた友達Aのことが思い出された。
りかが自分のキャリアを得意げに話すときは、友達Bが数か月前に言っていた「大手だと若手に裁量ないじゃん?だからベンチャーがいいんだよね~~」という言葉がフラッシュバックした。
就活って価値観の押し付け合いが無意識のうちに行われている。「みんなちがってみんないい」を「まあキャリアってひとそれぞれだよね!!」に落とし込んでニコニコしているけど、内心「自分の考えが世界で一番優れている」って思いがちだ。だから褒めてもらいたくて、認めてもらいたくて、我慢できず、節々に価値観をにおわせてくる。
「就活ってまじなんなん?」て思うのは、たくとが先輩に言われた「ツイッターのたった140字で人を判断するなよ」って言葉。ツイッターの140字とは違うけど、就活で一番最初に企業に提出する、ESにも400字で自分を表現する場が与えられている。
だってESでいうエピソードって、あとから書いているものだから、当時の心境とはかなりずれていることが多いから。
もっというと、面接も意味わかんないと思う。たった3,4回の面接で自分のポテンシャルを判断させられるのって不思議。
数十分話しただけで、私の何がわかるというのだろう???
「何者」を読んで、改めて就活がとっても謎の儀式だと思った。でも私はちゃんとその儀式をしている。だってぶつぶつ言っていても他に就活方法が手段がないんだもん。
だれか偉い人、就活の方法考え直してみてください。